点数制
「点数制」の記述に誤りがあったため2014年3月20日に修正しました。
その後も修正を加えています。
今年もよろしくお願いします。
先日1月の二火会に井上勝彦さんが新たに参加されました。
囲碁はボケ防止に最適な頭のスポーツです。中国では囲碁はスポーツ(頭脳スポーツ)の範疇に属し、中国主催の世界アマチュア囲碁選手権戦ではなんとドーピング検査までありました。
二火会では点数制によるハンディキャップ制を採用しているので初心者でも適切なハンデで楽しく碁が打てます。
みなさま(特に初めての方)の二火会参加をお待ちしております。
アマチュアの段級位は統一された昇段級の規定がなく各グループ、碁会所、インターネット等でバラバラです。
従って、下手より弱い上手がいたり、やたらと強い下手がいたりします。5段には強い5段、普通の5段、弱い5段、ものすごく弱い5段の4種類があります。
段級位制では急に強くなっても段級位がすぐには上がりません。また、高齢化に伴い碁が弱くなる傾向がありますが弱くなっても降格することはありません。
囲碁は麻雀等と違って実力差が顕著に勝敗に表れます。ハンデが適正でないと勝敗が一方的に偏ることになりおもしろくありません。このハンデを適正化しかつダイナミックに変化させるのが点数制です。
点数制は緑星学園の菊池康郎氏の考案だそうです。
点数制とは段級位を点数表記したもので一局打つごとに勝てばプラス1点、負ければマイナス1点と点数が即座に変化します。ハンデも点数1点につき約コミ1目増減します。
現在コミは6目半なので置石1子の価値(*注1)は13目(コミ6.5×2)と考えましたが、これは誤りでした。6目半は先着優位を目数で表したものであって石の価値ではありません。「1子の価値はコミ数の2倍」は誤りで「初手の価値はコミ数の約2倍」(*注2)です。従って2子以上の石の価値は初手の価値✕石数とはなりません(*注3)。
点数制の基本はコミを基準にして点数を決めるということであって置石の価値を基準にすることではありません。
「点数はコミと整合性を取らなければならない」という意見がありますがなぜコミと整合性をとらなければいけないのでしょうか。
コミと整合性がなくても何の不都合もありません。
緑星学園発祥のコミ基準の点数制は、一般アマのグループにそのまま当てはまるとは限りません(注5)。
「点数制」にはいろいろな点数があります。色々な点数があるのはコミが4目半、5目半、6目半と変わってきたことと段級位のインフレ抑制(*注4)がその理由のようです。
置石1子差を何点にするかで10点制、11点制、12点制、13点制、14点制、15点制とあるようです(*注5)。

表の見方ですが、点数差30点の場合、「三子」で「黒から2目半」コミ出しとなります。
二火会ではどうなっているのでしょうか。
二火会の手合割は下表のようになっており点数表はありません。正規の「点数制」とは異なっています。点数は一局打つごとに変わりますがハンデはある点数差以上にならないと変わりません。ハンデの変化が大雑把になっています。また、1子ごとの点数差は均等ではなく値も平均7.5点と小さくなっています。
正規の点数制ではランクの変動が小さすぎておもしろくありません。
また、ハンデが1子単位なのは我々のレベルでは1目単位にする意味がほとんどないからです(ハンデが1目、2目変わったぐらいでは勝敗に影響しない)。
菊池氏の意図とは全く異なる点数制ですが、二火会にはあっていると思います(これは点数制ではないと言われそうですが ^^;)。

*注1
初手の価値はコミ数の約2倍である(6.5✕2=13目くらい)。(*注2)
初手の価値と1子の価値を混同した記述が多く見受けられる。
2子~9子の価値は何目なのか。
置石の価値についてプロの公式見解を見たことはない。
置石の価値はどのような手法で求められるのだろうか。
コミは6目半になるまで何十年もかかっている。
コミはプロの実戦結果を統計分析することにより検証されている。
置石の価値は統計分析するデータがない。置石の価値を算出することは極めて難しそうだ。
現在は無理だが、コンピュータ碁がプロ級になれば可能になるかもしれない。
囲碁ソフトがプロ級になったとして置石の価値を求める手法を考えてみた。
ソフトを使って置碁を対戦させる。
普通の置碁と違いコミありとする。コミは置石1子あたり10~13目ほどになるだろう。
コミの値を変えて対戦させる。黒、白の勝率が50%に近いコミが置石の価値となる。
ソフトどうしの対戦であるから千単位の対局データを取ることは難しくない。
人間でこれをやろうとしても対局そのものが成り立たない他に形勢判断の問題もある。何十目ものコミだと形勢判断が難しくなる。コンピュータだと大きなコミにも対応できそうだ。
追記(2017.01)
AlphaGoの突然の出現により置石の価値を求めることは可能になったと思います。
置石の価値とは関係ないがアマのコミについて
プロはコミ6目半だが、アマはコミ6目半だと圧倒的に黒持ちが多いだろう。アマは攻めはそこそこだがシノギがヘタだからだ。「コミ自由設定選択制」にすれば大半のアマはコミ7目半を選ぶのではないでしょうか。
6目半のコミについて
中国ルールではコミ7目半だが白が有利。
AlphaGoの日本ルール版があるとすれば、コミ6目半は白が有利ではなかろうか
*注2
「初手の価値はコミ数の2倍である」は「先手番の優位性とコミの効力についての考察」に書かれているものである。
コミが変われば初手の価値が変わるので初手の価値は不変ではない。
*注3
加藤正夫は置き石が増えるほど1子当たりの価値が大きくなるという。1子の価値が10目だとすると6子では60目ではなく60目以上になる。
*注4
段級位のインフレ抑制
点数が上がり過ぎると点数に対応する段級位が上り8段、9段になってしまいます。
段級位の上がり過ぎを防ぐため14点制、15点制としているようですが、これは間違いです。
ランクの刻みを小さくするとランクの上下が小さくなり面白くなくなります。
点数を大きくするのではなく、段級位格付けの点数を変えます。
段級位格付けの点数は相対的なものなのでいくらにしてもよいのです。他のグループの点数に合わせる必要は全くありません。
段級位 (12点制の一例)
9級 8級 7級 6級 5級 4級 3級 2級 1級 初段 二段 三段 四段 五段 六段 七段 八段
持点
52 64 76 88 100 112 124 136 148 160 172 184 196 208 220 232 244
↓ (30点上げると)
82 94 106 118 130 142 154 166 178 190 202 214 226 238 250 262 274
*注5
何点制がよいのでしょうか。
点数制はプロのタマゴを育成する高レベル集団で考え出されたハンデキャップシステムで、一般アマの集団ではハンデの変化が大きいほうが面白いと思います。
一般アマでは2点増減させるのが良いと考えます。
2点増減なら14点制、15点制、16点制でも良いでしょう。
参考
囲碁の点数制について
13行、14行の手合割表
先手番の優位性とコミの効力についての考察
(囲碁部 世話人:平井)
東京ミッドタウン(2011年12月)
その後も修正を加えています。
今年もよろしくお願いします。
先日1月の二火会に井上勝彦さんが新たに参加されました。
囲碁はボケ防止に最適な頭のスポーツです。中国では囲碁はスポーツ(頭脳スポーツ)の範疇に属し、中国主催の世界アマチュア囲碁選手権戦ではなんとドーピング検査までありました。
二火会では点数制によるハンディキャップ制を採用しているので初心者でも適切なハンデで楽しく碁が打てます。
みなさま(特に初めての方)の二火会参加をお待ちしております。
アマチュアの段級位は統一された昇段級の規定がなく各グループ、碁会所、インターネット等でバラバラです。
従って、下手より弱い上手がいたり、やたらと強い下手がいたりします。5段には強い5段、普通の5段、弱い5段、ものすごく弱い5段の4種類があります。
段級位制では急に強くなっても段級位がすぐには上がりません。また、高齢化に伴い碁が弱くなる傾向がありますが弱くなっても降格することはありません。
囲碁は麻雀等と違って実力差が顕著に勝敗に表れます。ハンデが適正でないと勝敗が一方的に偏ることになりおもしろくありません。このハンデを適正化しかつダイナミックに変化させるのが点数制です。
点数制は緑星学園の菊池康郎氏の考案だそうです。
点数制とは段級位を点数表記したもので一局打つごとに勝てばプラス1点、負ければマイナス1点と点数が即座に変化します。ハンデも点数1点につき約コミ1目増減します。
現在コミは6目半なので置石1子の価値(*注1)は13目(コミ6.5×2)と考えましたが、これは誤りでした。6目半は先着優位を目数で表したものであって石の価値ではありません。「1子の価値はコミ数の2倍」は誤りで「初手の価値はコミ数の約2倍」(*注2)です。従って2子以上の石の価値は初手の価値✕石数とはなりません(*注3)。
点数制の基本はコミを基準にして点数を決めるということであって置石の価値を基準にすることではありません。
「点数はコミと整合性を取らなければならない」という意見がありますがなぜコミと整合性をとらなければいけないのでしょうか。
コミと整合性がなくても何の不都合もありません。
緑星学園発祥のコミ基準の点数制は、一般アマのグループにそのまま当てはまるとは限りません(注5)。
「点数制」にはいろいろな点数があります。色々な点数があるのはコミが4目半、5目半、6目半と変わってきたことと段級位のインフレ抑制(*注4)がその理由のようです。
置石1子差を何点にするかで10点制、11点制、12点制、13点制、14点制、15点制とあるようです(*注5)。

表の見方ですが、点数差30点の場合、「三子」で「黒から2目半」コミ出しとなります。
二火会ではどうなっているのでしょうか。
二火会の手合割は下表のようになっており点数表はありません。正規の「点数制」とは異なっています。点数は一局打つごとに変わりますがハンデはある点数差以上にならないと変わりません。ハンデの変化が大雑把になっています。また、1子ごとの点数差は均等ではなく値も平均7.5点と小さくなっています。
正規の点数制ではランクの変動が小さすぎておもしろくありません。
また、ハンデが1子単位なのは我々のレベルでは1目単位にする意味がほとんどないからです(ハンデが1目、2目変わったぐらいでは勝敗に影響しない)。
菊池氏の意図とは全く異なる点数制ですが、二火会にはあっていると思います(これは点数制ではないと言われそうですが ^^;)。

*注1
初手の価値はコミ数の約2倍である(6.5✕2=13目くらい)。(*注2)
初手の価値と1子の価値を混同した記述が多く見受けられる。
2子~9子の価値は何目なのか。
置石の価値についてプロの公式見解を見たことはない。
置石の価値はどのような手法で求められるのだろうか。
コミは6目半になるまで何十年もかかっている。
コミはプロの実戦結果を統計分析することにより検証されている。
置石の価値は統計分析するデータがない。置石の価値を算出することは極めて難しそうだ。
現在は無理だが、コンピュータ碁がプロ級になれば可能になるかもしれない。
囲碁ソフトがプロ級になったとして置石の価値を求める手法を考えてみた。
ソフトを使って置碁を対戦させる。
普通の置碁と違いコミありとする。コミは置石1子あたり10~13目ほどになるだろう。
コミの値を変えて対戦させる。黒、白の勝率が50%に近いコミが置石の価値となる。
ソフトどうしの対戦であるから千単位の対局データを取ることは難しくない。
人間でこれをやろうとしても対局そのものが成り立たない他に形勢判断の問題もある。何十目ものコミだと形勢判断が難しくなる。コンピュータだと大きなコミにも対応できそうだ。
追記(2017.01)
AlphaGoの突然の出現により置石の価値を求めることは可能になったと思います。
置石の価値とは関係ないがアマのコミについて
プロはコミ6目半だが、アマはコミ6目半だと圧倒的に黒持ちが多いだろう。アマは攻めはそこそこだがシノギがヘタだからだ。「コミ自由設定選択制」にすれば大半のアマはコミ7目半を選ぶのではないでしょうか。
6目半のコミについて
中国ルールではコミ7目半だが白が有利。
AlphaGoの日本ルール版があるとすれば、コミ6目半は白が有利ではなかろうか
*注2
「初手の価値はコミ数の2倍である」は「先手番の優位性とコミの効力についての考察」に書かれているものである。
コミが変われば初手の価値が変わるので初手の価値は不変ではない。
*注3
加藤正夫は置き石が増えるほど1子当たりの価値が大きくなるという。1子の価値が10目だとすると6子では60目ではなく60目以上になる。
*注4
段級位のインフレ抑制
点数が上がり過ぎると点数に対応する段級位が上り8段、9段になってしまいます。
段級位の上がり過ぎを防ぐため14点制、15点制としているようですが、これは間違いです。
ランクの刻みを小さくするとランクの上下が小さくなり面白くなくなります。
点数を大きくするのではなく、段級位格付けの点数を変えます。
段級位格付けの点数は相対的なものなのでいくらにしてもよいのです。他のグループの点数に合わせる必要は全くありません。
段級位 (12点制の一例)
9級 8級 7級 6級 5級 4級 3級 2級 1級 初段 二段 三段 四段 五段 六段 七段 八段
持点
52 64 76 88 100 112 124 136 148 160 172 184 196 208 220 232 244
↓ (30点上げると)
82 94 106 118 130 142 154 166 178 190 202 214 226 238 250 262 274
*注5
何点制がよいのでしょうか。
点数制はプロのタマゴを育成する高レベル集団で考え出されたハンデキャップシステムで、一般アマの集団ではハンデの変化が大きいほうが面白いと思います。
一般アマでは2点増減させるのが良いと考えます。
2点増減なら14点制、15点制、16点制でも良いでしょう。
参考
囲碁の点数制について
13行、14行の手合割表
先手番の優位性とコミの効力についての考察
(囲碁部 世話人:平井)

東京ミッドタウン(2011年12月)